旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~
"旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~"とは、2021年3月20日、21日の2日間に渡って開催された"ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 校内シャッフルフェスティバル"にインスピレーションを受けて企画された(大嘘)、旅行オタクによる旅行オタクのためのイベントである。
詳細な内容、ルール等は下記の記事に書かれているため割愛するが、要は参加者全員がそれぞれ一人旅の計画を立案、それを参加者内でシャッフルして、それぞれが決行するという企画だ。
「旅程を他人に押し付けろ! ~行程シャッフルフェスティバル~」 - 言葉のリハビリ場 (hatenablog.com)
今回は岡山駅を起点に日帰りで帰って来ることのできる行程を計画するというルール。
企画案自体は結構前からあり、中々実行する機会が無かったところだが、この度ちょうどメンバーの予定が合致したことから、晴れて実施する運びとなった。
旅程計画→シャッフル→旅程実行という流れになるため、自分が関与する旅程は2つあるわけだが、私が作成した行程に関しては実行者に任せることとして、この記事では私が実行した行程に関して記していきたい。
時は5月4日(水)、朝6:30頃。
出発の地となる岡山駅に到着。
同部屋のオタクはもう少し後の電車とのことで、駅前のコンビニで別れて一人旅開始。
前日夜の旅程シャッフルの段階で結構当日に使用する行程表ときっぷ、その他必要な現金等が入った封筒を受け取っていたのだが、ここで早くもトラブルが発生した。
きっぷが改札を通らない。
乗車券や特急券を確認しても特に間違ってそうな箇所は見当たらない。
大抵こういう場合は日付が間違っていたりするのだが、しっかり5月4日と書かれている。
弾かれる原因が分からなかったので駅員に聞いてみると、経由路線が違うとのことだった。
これから乗ろうとしているのは山陽新幹線なのに対して、乗車券の経由路線は山陽本線。
新幹線と在来線が並行する区間では、どちらかを選んで乗車できるようになっている場合が多いが、山陽新幹線の徳山~新岩国間は山陽本線ではなく岩徳線経由での運賃計算になっているため、山陽本線経由のきっぷでは改札を通過できなかったようだ。
一連のやりとりに数分要するも、早めに出発していたことから事なきを得た。
一歩間違えれば初手から行程が破綻するところだったのでヒヤヒヤだ。
最初の行程は岡山から山陽新幹線「みずほ」で小倉まで移動。
「のぞみ」も同じ区間を走っているが、座席が2列+2列と快適な「みずほ」の指定席を確保して貰っている点には感謝したい。
車内はほぼ満席に近い状態であったが、小倉まで約1時間20分ほどの移動を楽しむことができた。
8:11に小倉駅到着。
ここで最初のミッション「小倉駅の駅名板を撮り「ファッ!?」とツイート」をクリアする。
今回の企画ではこのようなミッションやチェックポイントのようなものを数か所設定することとなっている。
このミッションも計画者ごとの色が出るところで、非常に面白いポイントだろう。
初手で九州上陸と大移動をしたところで、ここからは在来線を細々と乗り換えての旅となる。
まずは約8分ほどの乗り継ぎで日豊本線の普通列車中津行きに乗車。
この列車は比較的空いていて、更に転換クロスシートということもあり、長く乗っていたいところだったが、約30分ほどで行橋に到着。
ここで特急にちりんシーガイアへと乗り換え。
こちらも座席を確保できたが、乗車時間20分弱で中津に到着し、再び普通列車大分行きへと乗り換える。
そして中津で乗り換えてから25分ほどで最初の目的地である宇佐駅へと到着した。
特急にちりんシーガイアは宇佐駅に停車しないため、中津~宇佐間が普通列車での移動になるのは仕方ないが、どうせにちりんシーガイアに乗るならば小倉から乗車にすれば良かったと思うんですけど(名推理)
まぁそんな話はさておき、ここで2つ目のミッション「宇佐駅の駅名板を撮り「USA」とツイート」をクリアしてから、タクシーで宇佐神宮へと向かう。
あまり詳しくはないのだが、この宇佐神宮は全国の八幡宮の総本社なのだとか。
〇〇八幡宮や〇〇八幡神社といった神社を全国各地で見かけるが、それらは宇佐神宮の分社ということのようだ。
宇佐神宮のHPによると、神社は全国に約11万ほど存在し、そのうちの約4万ほどが八幡宮とのことなので、その凄さが少し理解できるかもしれない。
ここでは1時間以上の余裕があったため、ゆっくりと境内を観光する。
これだけの由緒正しき神社ということで境内は中々広く、最も奥にある上宮までは10~15分ほど掛かった。
新緑と青空の下に赤い建物が映える上宮にてお参りしてから元来た道を戻る。
到着したのが10時前ということもあり、混み始める前にお参りを出来たのは良かった。
参道の入り口付近には土産物屋や飲食店が並んでいるが、戻ってきた頃には中々の賑わいを見せていた。
駐車場の入り口も大渋滞といった状況で、これからもっと混雑するのだろう。
そんな宇佐神宮を後にし、目の前にある"よーちゃんラーメン"で昼食とする。
よーちゃんラーメン - 宇佐/ラーメン | 食べログ (tabelog.com)
11時と昼食には少し早い気もするが、この後の行程で昼食を摂れそうな箇所がなかったため、ここで済ませておく。
参道の飲食店で団子汁などの名物をいただくのも良かったが、"よーちゃん"という店名に惹かれて入店。
ここは王道を征く、九州らしい豚骨ラーメンを注文。
豚骨だけれど、そこまでこってりしていない感じで、好みの味だった。
ここを選んで大正解だ。
昼食の後はバスで宇佐駅へと戻る。
このバスが宇佐八幡(宇佐神宮最寄りのバス停)11:11発予定、一方"よーちゃんラーメン"の開店が11時と本来であれば到底間に合わないはずだったのだが、先ほども書いたように宇佐神宮の駐車場待ちで道路が大渋滞しており、バスが20分前後遅れて到着。
宇佐駅に戻ってからも時間に余裕があることが分かっていたため、先に昼食を済ませてタクシーで戻ろうと考えていたところだったが、丁度良くバスに間に合った。
宇佐駅からは伊美行きのバスに乗り継ぎ。
ここから竹田津港まで1時間ほどバスに揺られる。
宇佐駅を出て暫くすると隣町の豊後高田市へと入り、その豊後高田市の市街地を抜けると国東半島の海岸線を進んでいく。
この日は大変天気が良く、窓を開けると海からの爽やかな風が入り込んできて気持ちが良い。
旅行の4日目と良い感じに疲労も溜まっている頃合い、この最高のロケーションに耐えられるわけもなく、所々意識を失いながら竹田津港に到着。
詳しい人ならば竹田津港と聞いた時点で察しが付くだろうが、ここからは"スオーナダフェリー"で船旅となる。
フェリーの出航まで1時間ほどあったため、港周辺で海を眺めながら過ごす。
港の堤防に腰掛けて、その境界が分からなくなった空と海を目の前にゆっくりと時間が流れていく。空と海っていうのは、境目が無いんですよ。
出航30分前くらいになると水平線の彼方に乗船予定の船が見えてくる。
その姿は徐々に大きくなり、堤防の横を通過して入港していく。
その様子を写真に収めながら感じたのだが、意外と"撮り船"って面白いのかもしれない。
鉄道や飛行機の写真を撮るというのはよく聞くが、船の写真を撮るというのはあまり聞いたことが無く、乗り物オタクの中では割とマイナーな部類なのかもしれない。
ただ、港周辺は入り組んでいる場合が多く、様々なアングルが考えられ、背景に写る陸地部分等を考えながらロケハンするのは楽しそうだ。
この日はカメラを宿に置いてきてしまっていたが、今度写真を撮るために港へ行ってみるのも良いかもしれないと感じるひと時だった。
少し話が逸れたが、フェリーの入港を見届けた後、フェリーターミナルへと戻って乗船する。
ここから徳山港まで2時間ほどの船旅。
大きなディーゼル音を響かせながら港を離れていく。
少数ながら見送りの方々がいて、別れを惜しむように手を振る姿も。
自分に向けられたものではないが、海という物理的な隔たりを間に挟み徐々に離れていく様はグッとくるものがある。
船の出航時ほど旅情をそそられる瞬間は無いだろう。
竹田津港を出ると右手に姫島村を望みながら順調に進んでいく。
好天で且つ外洋にも面していないことから殆ど揺れも無く、非常に穏やかな航海だ。
甲板上で過ごしていると風を切って進んでいるのを感じられ、陸に居た時は少々暑いくらいの気温であったことからも、とても心地よい。
船上で外気を感じながら過ごす贅沢な時間。
フェリーを行程に組み込んでくれた計画者に感謝だ。
大津島と大島半島の間を抜け、前方に徳山の工業地帯が見えてくると間もなく徳山港へと入港だ。
係留されている貨物船、セメント船などを横に見ながら港内を進み、間もなく着岸する。
こういった風景を目にすると、徳山で海運業が盛んであることを実感することができる。
徳山港は徳山駅に隣接しており、移動には徒歩で5分も掛からない程度。
次の行程は山陽新幹線「こだま」で広島へ移動なのだが、時間まで3時間以上ある。
行程表には以下のように記されている。
・徳山市街散策・飯 3時間弱 (見るところは)ないです。
・港公園で工場夜景を撮ってツイート
後者は良いとして、見るところないのに3時間も確保したのか…(困惑)
ご存知のとおり、徳山は工業の街。
少し調べてみたものの特に観光スポット等は見当たらず。
それならば、やはり"#最高のエンターテイメント"するしかないだろう。
ということで"ボートレースチケットショップ オラレ徳山"へ。
本来ボートレースは専門外なのだが贅沢なことも言っていられない。
ここで一攫千金してふぐ料理でも食べに行こう。
そう思っていたのだが、この"オラレ徳山"なんとレース映像を放映していない。
流石にレース映像もない場外舟券売場で長時間滞在する気にもならず、1レースだけ舟券を買って早々に撤退。
後からレース結果を調べたところ、買った舟券はハズレ。
一攫千金ならず。
"オラレ徳山"を後にして夕食の店を探す。
臨時収入は得られなかったものの、せっかく山口まで来たのでふぐ料理をいただくことに。
ふぐ料理となると、平気で10,000円前後する店が多いが、その中に比較的コスパが良く評価も高い店を発見、"宇佐川水産"という地場系居酒屋に入店する。
鮮味食彩 宇佐川水産 (せんみしょくさい うさがわすいさん) - 徳山/魚介料理・海鮮料理/ネット予約可 | 食べログ (tabelog.com)
2,000円くらいの"ふく定食"と3,000円程度の"ふく御膳"があったが、せっかくなのでここは"ふく御膳"を注文。
結果的にはこれが大正解で、ふくの刺身、天ぷら、チリソース揚げ、そして焼きふぐとふぐ料理の欲張りセットにあら汁に茶碗蒸し、デザートまで付いてくる豪華セット。
これで3,000円ならばお得だろう。
思いのほかボリューム満点だったこともあり、食べ終わったのが18:30頃。
新幹線が19:47なので、あと1時間と少し。
これならば、最後のミッション「港公園で工場夜景撮ってツイート」をこなして丁度良いくらいだろう。
ということで徳山駅から港の突端へ向けて歩くこと10分少々、港公園へと移動する。
徳山の工場夜景といえばそれなりに広く知られていると思うが、いくつかある観賞スポットの中で最もアクセスが良いのがこの港公園だ。
夜景観賞スポットは車が無いとアクセスの難しい場所も多々あるが、ここは新幹線停車駅から徒歩5分と抜群のアクセス性。
それもあってか、到着すると自分以外にも2人ほど写真を撮っている人がいた。
ミッションでは"工場夜景"とのことだったが、この季節だと19時を過ぎてもまだまだ空が明るい。
19時半頃まで粘ってみたが、完全に暗くなるまでには時間が掛かりそうだったため、このあたりで撤退。
夜景というのは、好みにもよるが夕暮れ時くらいが一番綺麗だったりもするので、まぁこれはこれで良いだろう。
最後のミッションもクリアということで徳山駅へと向かう。
徳山からは山陽新幹線「こだま」に乗車する。
このまま新幹線で岡山へと思いきや、2駅先の広島で下車。
実は今回の行程、ここからが一番厳しい部分であり、新幹線であれば僅か40分程度の広島~岡山間を普通列車で3時間掛けて移動する行程となっている。
(後の反省会にて、特に意図はなく単なる節約であることが判明。まぁミッション等が無い時点で分かってはいたが。)
広島駅の在来線ホームに向かうと、広島近郊に住んでいると思われる人々で溢れている。
時刻が20時過ぎということもあり山陽本線も帰宅ラッシュ、座席は全て埋まっており立ち客も多い状況だ。
特に縛りのない旅行であれば追加料金を払ってでも新幹線を使うところだが、今回は在来線を指定されているため、やむを得ず鈍行で岡山を目指す。
地元客は数駅で降りるかなという淡い期待もあったが、目立った降車は見られずに満員の状態で瀬野八の峠を越えていく。
広島を出発してから約40分、西条にてそれなりの人数が下車したことで、ようやく着席することが出来た。
車両が転換クロスシートだったこともあり、着席さえ出来てしまえば快適に過ごせる点が幸いだ。
21:44に糸崎駅へ到着。
ここで行程最後の列車となる普通岡山行きへと乗り換える。
西条以降は特に目立った降車は無く、窓側が殆ど埋まっているくらいの乗車率だったが、乗り換え先の列車も同じ両数だったことで、こちらも着席できた。
尾道の付近は景色の良い区間もあったはずだが、夜のため外は真っ暗。
小気味よい揺れと走行音にただただ体を預けながら進んでいく。
途中の福山で車内の乗客が入れ替わり、倉敷に到着すると岡山へ帰宅する人々がドバーっと乗り込んできた。
倉敷を出るともう岡山は目の前、時刻は23:23、朝出発してから約16時間半ぶりに岡山へと戻ってきた。
以上で一連の行程は無事全て完了。
このような企画なので天候等によるアクシデントが不安だったが、これ以上ない好天に恵まれ、全て計画通りに行程をこなすことができた。
今回の行程の総移動距離を計算してみたところ約770kmで、これは恐らく本企画の参加者(4人)の中で最も長い距離を移動していることだろう。
770kmというと東京~青森よりも長いくらいの距離になるので、1日での移動としてはかなりの大移動だ。
実際に、朝は4人中2番目に出発し、夜は一番遅い到着だった。
中々厳しい行程ではあったが、その分中身の詰まった1日であったとも言える。
特にフェリーを組み込んだ行程だった点に関しては、自分ではあまり考えない行程でもあり、非常に新鮮で非常に楽しいところでもあった。
こういった点がこの企画の良いところなのだろう。
企画に参加した4人は日頃からよく一緒に旅行をしている仲ではあり、旅行の傾向は比較的似通っていると思ってはいたが、それでもこのように差が出ることを実感できたのは大きな収穫だ。
いつになるかは分からないが、是非またこのような企画を行いたいところである。